刑務官の中等科研修って厳しすぎて逃げ出す人もいるって本当!?

こんにちは。



さやだんです。



今日は、刑務官の中等科研修についてお話ししますね。


特に、初等科研修を終えて、これから中等科研修を目指す人も多いと思いますが、一応、ここでは、僕が経験したことを話せる範囲で話したいと思います。


なかなか言いづらいところもありますけど、スレスレのところまで行きますよ〜(笑)


刑務官の中等科研修とは??


中等科研修とは、初等科研修と異なり、任意での参加となる研修ですが、誰でも参加できるわけではなく、研修に参加するための試験に合格した刑務官しか参加できません。


将来、矯正を支える幹部となるための第一歩として、避けては通れない壁というわけで、いわゆる出世するための研修と捉えればいいでしょう。


中等科研修を修了すると、階級が「看守」、「主任看守」だった人は、「看守部長」に昇任することができ、それに伴い、給料もアップします。


もっと具体的に言うと、中等科研修を修了(12月中旬頃)して、翌1月1日付けで、「矯正処遇官看守部長」という肩書きになります。


月給にしたら大した額ではないけど、生涯年収で見ると、中等科研修を修了せずに刑務官を続けている人のそれと比較したら、かなりの大きな額をいただけることになります。


なので、若いうちに中等科、高等科をクリアしておけば、一回も昇格試験を受けない人と比較すると、生涯年収は数百万単位で違ってくるわけです。


一生刑務官を続けることを考えていて、上昇志向が強い人はこの中等科研修に参加されることを強くお勧めします。


中等科試験は難しい??


中等科試験は僕も受けたことがありますが、結論から言うと、難しくはありません。


ただ、僕はそれまでの人生で外国語学習に力を入れていて、外国語以外の試験をほとんど受けたことがなかったため違和感はありましたが、そんな僕でも普通に毎日1時間の勉強を2、3週間継続したら合格できたので、そんなにレベルの高い試験ではないと思います。


この手の試験は、職務内容と直結しているものが多いので、自分が日々従事している仕事とその法的根拠を常に意識しながら職務にあたっていると、知識は自然と身についてきます。


そういう意味では仕事そのものが勉強なので、仕事を真面目にやっていれば簡単だと言えます。


夜勤者の方ですと、仮眠時間や休憩時間などの比較的リラックスした時間帯に、夜勤監督にいろいろと質問してみるのもいいかと思います。


中等科研修は機会の宝庫!?


いろんな話を先輩や上司から聞いてると思いますが、中等科研修は面白いです。


初等科研修と違って、人数も絞られて、それなりに志のある刑務官ばかりが集まるので、「何かを得て帰りたい人」にとっては参加する価値は十分あると思います。


そして、中等科研修を修了すると、そこからいろんな仕事を任されるようになります。


ちなみに僕の場合、初等科の教官から、在外公館勤務を目指すんなら中等科は修了しとけと言われたから目指してましたけど、今となっては、あの言葉がなければ、ドイツにも行けてなかったかもしれません。


中等科を修了すると、他にも法務教官の人事交流の機会も巡ってくるし、なんといっても、僕が経験させていただいた在外公館勤務にもきっと有利に働くはずです。


さらに、各矯正管区での勤務できるチャンスもあるでしょうし、そして、矯正管区の勤務経験を積んだ後に高等科に行けば、さらには東京の霞ヶ関にある法務省での勤務も夢ではなくなります。(ただし、相当な激務です。。。。)


生涯年収を増やしたくて、さらに、上の地位に立って、ガンガン出世して行きたいという願望を持っているのであれば、必ず行っておいた方がいいです。


ただ、僕はそこまでは目指してなかったので、出世の道を強くおすすめすることはできませんが、それが本当の幸せと自信を持って言える方であれば、挑戦してみるのもアリだと思います。




中等科研修では何を勉強するの??


中等科研修では初等科研修とは違い、さらに責任の重い仕事に関する勉強をしていきます。


もっと複雑なケースに備えて、法的な根拠も確実に押さえていかないといけません。


国民全体への奉仕者たる国家公務員で、さらに階級が上がるための研修なので、軽い気持ちでいると後々苦労することでしょう。


以下、中等科研修で勉強できることについてお話ししますね。


矯正護身術(中級)


初等科研修では、矯正護身術の初級という一番簡単な級を取得しますが、中等科では中級取得が必須となります。


技の数も増えて、さらに技のキレや美しさも求められるので、初級よりも苦労はすると思います。


さらに、応用技ともなれば、左右できるようにならなければならないので、なかなか苦労することでしょう。


あと、ペアとの息のあった動きが超重要なので、練習するときは一人ではなく、二人でするようにしましょうね。


それから、大体予想できると思いますが、護身術は形だけ完璧に出来ても、教官はなかなか納得してくれません(笑)

昭和の根性論みたいなところがあって、歯を食いしばって、汗だくになって、半泣きになって、時間いっぱいまでがんばってる姿を見せると、評価は高くなるかもしれません(笑)


ギリギリまで最高の出来栄えを求める姿勢、それを見せるのが矯正護身術とも言えます。。。(苦笑)


「見せることが大事」とはよく言ったもので、「教官に見せること」を常に意識しましょう。


さてさて、肝心の中身ですが、中級ともなれば、「受け(技をかけられる方)」がもっとエキサイティングにならないといけません。


ここは余談ですが、僕は、常に「受け」の在り方に疑問を持っておりまして、なんで技をかけられる方の美しさまで必要なのか、現役当時はよく考えていましたけど、やっぱり今も答えは見つかりません(笑)


もしかしたら、技をかける方が、思い切って技をかけられるようにするために、受け身を取る方が動きを完璧にしておかないといけないということかもしれませんね。わかる人がおられましたら教えてください(笑)



それはさておき、所作にメリハリをつけること、そして、掛け声、ペアで息のあった動き、このようなことが求められます。


そして、研修員の中で一番動きが悪い人は、ほぼ必ず教官にロックオンされるので、自分がそうならないように研修が始まる前に練習しておきましょう。


護身術の教官は、根性大好き人間が多いように感じます(笑)
でも、人間的に悪い人のようには感じなかったので、気持ちを全面に取り組めば、色んなところでプラスになると思いますよ。


成人矯正法


中等科研修ともなると、実際の矯正の現場で必要となる法律の根拠をみっちり勉強します。


成人矯正法ってやつです。


この勉強は、刑務官を続けるつもりの人はしっかり勉強しておきましょう。


中等科修了以上の刑務官になると、現場での迅速、かつ、適切な判断を求められることがありますが、この時に法律に詳しくないがために思わぬミスを犯してしまうことにもなりかねません。


最低でも自分がこれまで就いたことのある配置に関する項目だけでも、まずはおさらいしておきましょう。


あと、もし余裕があれば、成人矯正法の逐条解説集も売ってるので、買っておくと便利かもしれません。


ちなみに、その逐条解説集は、けっこういいお値段なので覚悟はしておいてください(笑)


確か、定価で9,000円以上だったと思います。。。。。


また、この法律の勉強方法ですが、一から順に見ていっても頭に入らないし効率が悪いので、自分が関わってきた分野のケースを思い出しながら勉強していくといいでしょう。


成人矯正法は、まずは全体像をつかんで、そのあとに自分に深く関わる分野を徹底的に勉強しましょう。そのあとは、その分野と関連のある部分を少しずつ広げて、自分の守備範囲をどんどん広げていくと、「仕事ができる刑務官」になれますよ!頑張ってくださいね!



調査の際の供述調書の作成方法


中等科研修を卒業して、矯正処遇官看守部長以上に昇格すると、現場に戻った時に反則行為をしてしまった被収容者に対して、その行為に及んでしまった経緯を聞くための供述調書を作成する仕事を任されることがあります。


そのための注意事項や、実際に模擬供述調書を作成するセッションも組まれていて、とても役に立つことを学ぶことができます。


もちろん、実際の現場でやるのとでは全く違いますが、知っておかないと話にならないことばかりなので、この講義はしっかり聞くようにしておきましょう。


ちなみに、僕が中等科研修に参加した時は、副検事の先生が来られて実際に色々な話を聞かせてもらいました。


その副検事の先生も刑務官出身で、現場の職員さんの気持ちがとてもよくわかるとのことで、とてもやりやすかったのをよく覚えています。


大事なことをとても多く学ぶことができるし、しかも学びやすい雰囲気を作ってくれるので、中等科研修もとても充実しているので、実践形式の講義はやりやすいと思います。


僕は、中等科研修を修了して、矯正処遇官看守部長となって、いきなり供述調書を作成する機会が訪れました・・・。こう言ったこともあるので、手を抜かずに頑張って取り組んでいきましょう!


術科査閲式


初等科研修でもやった形態の隊列を組んで行進したり、警備服を着て、ライナーヘルメット、籠手を装備して施設を守るためのフォーメーションを組んだりする、いわば、見せるための演習を行います。


この訓練で活かせることは、現場で頻繁には発生しないかもしれませんが、有事の際にやらなければならなくなるので、体で覚えておくといいでしょう。


ただ、仲間と息を合わせて、そして力を合わせて施設を守るぞという気持ちでやってみると、やる気がどんどん出てくることは間違いありません。


ただ、盾を持ってダッシュするシーンや、想定訓練で被収容者役の研修員を制圧するシーンもあったりするなど、いくら想定とはいえ、なかなかハードな局面も見られるので、ナメてかかると痛い思いもします。


ただ、全員の動きが一つになってないとグダグダになったりするので、常に仲間と呼吸を合わせて、素晴らしい術科査閲式にするぞ〜という気持ちで取り組んでいきましょう。


きっとうまくいくと思いますよ♪


僕は、刑務官を辞めた後でも術科査閲式のことは時々思い出します。
今の生活もこの経験があるからこそ成り立ってるのかなって感じることもあるかな〜。


拳銃操法


ご存知の方は、ご存知だと思いますが、刑務官も現場で拳銃を使うことがあります。


ただ、そのケースは非常に稀で、現役の刑務官で実際の現場で使用したことがある人は、おそらくいないでしょう、いや、いないはずです。


そんな非常にレアなケースですが、この拳銃操法を中等科研修では勉強します。


勉強と言っても、実際に警察の射撃訓練場で拳銃を撃つ訓練にはなりますが、以下の手順に従って行います。

拳銃操法の流れ

拳銃の出し方(号令「銃を出せ」)

拳銃の納め方(号令「銃を納め」)

弾倉の開き方(号令「弾倉を開け」)

弾倉の閉じ方(号令「弾倉をはめ」)

弾倉の装てん(号令「弾を込め」)

弾薬等の抽出(号令「弾を抜け」)

弾倉の点検(号令「弾倉を改め」)

基本射撃(号令「撃ち方用意」、「撃ち方始め」)

射撃中止(号令「撃ち方待て」)

射撃終了(号令「撃ち方やめ」)


実際にやってみないとイメージしにくいとは思いますが、お手持ちの「刑務官必携」にも記載の通り、こういう流れで行っていきます。


くれぐれも教官の指示に従い、ご安全に研修を受けられてくださいね!

拳銃を使用するような場面には基本的には遭遇しないこととは思いますが、万が一に備えることはいつの時代でも同じです。しっかり勉強して、日本の治安を守っていただきたいと思います!


中等科研修の生活は厳しすぎて逃げ出したくなるって本当!?


中等科研修は生活自体が厳し過ぎるって本当かどうか?


その質問に対する僕の答えは、


「人それぞれの感じ方次第です。」


中等科は初等科より楽勝とか言う人もいますけど、目的が何かをはっきりさせている人にとっては、厳しさを感じることもあるかもしれませんし、逆もあり得るので、一概には言えません。


ただ、この記事でも書きましたけど、中等科研修はとにかく機会の宝庫なので、研修自体も研修後も充実化することは間違いありません。


色んなことから逃げ出したくなることもあります。僕の場合は、課題やテスト勉強が苦手だったので、本当に逃げようかと考えてましたけど、逃げると所属の施設の上司に大目玉を食らうので逃げるのはやめました(笑)


でも、逃げずに頑張ると、逃げずに頑張れる自分を手に入れることができるので、刑務官を続けるかどうかにかかわらず、今後の人生にプラスになることは間違いありません。


挑戦してみる価値は十分あります。


中等科研修は、楽しいこともあれば辛いこともあります。でも、行って良かったと思えることもたくさんあるので、ぜひ挑戦してみてください。


中等科研修は絶対に修了しといたほうがいいって本当!?


僕の答えは、刑務官をやりながら一つでも多くのことを学びたいと思っているのなら、答えは「Yes」です。


中等科研修を修了すると、刑務所だけではなく、他の外部の国の組織に出向できるチャンスも生まれてきます。


つまり、刑務官としてだけではなく、他の職種の職員としてのキャリアも積めるということです。


中等科と出向に興味を持たれたのであれば、こちらの記事もご覧くださいね!



14 件のコメント

  1. くらりす 返信

    こんばんは。
    今現在刑務官に転職を考えており、社会人B枠で受験を考えています。ですが、私自身頭があまり良くなく、試験勉強に勤しんでます
    また、過去に自衛隊に入隊していた事もありました。ですが、家庭の事情で(父親が亡くなり家業の手伝い)の為に教育隊で退職をしました。理由はどうであれ教育隊で辞めてしまった事はもし面接に行けたとして伝えたら不備になりますよね…
    初任科研修のブログを拝見させて頂いて自衛隊の教育隊とほぼ一緒なんですね(笑)

    • sayadan 投稿者返信

      刑務官試験の受験を考えられているのですね。
      公務員試験はやはり人気があるので簡単ではないかもしれませんが、計画を立てて継続学習をすれば合格できる可能性は高くなると思います。
      まずは問題集や過去問で7割以上を目指すと良いのではないでしょうか。
      あと、面接に関しては、はっきりしたことは申し上げられませんが、刑務官になりたいという熱い思いが面接官に伝われば合格に近づくと思いますよ。
      もし、武道経験があれば、それをアピールするのも効果的です。
      成功をお祈りします。頑張ってくださいね!!
      あと、ブログを読んでくださって本当にありがとうございます。

  2. くらりす 返信

    自衛隊にいた時は、区隊全体の指揮をとったり、班長に歩調かけたりなどをしていたので、少なからず役に立つ部分はあると思ってはいます笑

    • sayadan 投稿者返信

      自衛官出身の刑務官の方と一緒に勤務した経験はありますが、とても気合の入っている方ばかりだったので、くらりすさんも刑務官になられたらご活躍できるのではないかと思います。
      頑張ってください!

  3. くらりす 返信

    ありがとうございます。
    班長ではなく班員に対してでした( ; ; )笑

    • sayadan 投稿者返信

      大丈夫です!
      いずれにしても集団行動させる場面も多い刑務官の仕事において、指揮を執られていた経験は役に立つと思います。

  4. くらりす 返信

    回答ありがとうございます。
    過去問は解いてるのですが、なかなか自信がなくて絶望的です…

    武道経験は無いのですが、無くても問題ないのでしょうか?

    あと、ピアスが空いでいたらダメと聞いたのですが、実際どうなんでしょうか?学生時代に空けています。
    もちろん勤務中はしませんが…

    • sayadan 投稿者返信

      まずは判断推理や数的推理の練習を重ねて、その上で暗記で得点できる部分で取りこぼしがないようにすればいいのではないでしょうか。
      また、武道経験は特に必要ではなく、刑務官になられてから始める方も多いので、その辺りは心配ないでしょう。
      あと、ピアスの穴が空いている刑務官も過去に見たことはあるので、ピアスの穴で不合格になることはないと思います。

      • くらりす 返信

        こんばんは。遅くなってすいません。
        色々教えてくださり、ありがとうございます。とりあえず自信はないのですが頑張ってみます
        これからもブログを拝見させていただきますね!
        良いお年をお迎え下さい。

        • sayadan 投稿者返信

          いえいえ、とんでもないです!
          こちらこそ、ブログを見てくださって本当に感謝です。
          ありがとうございます!
          くらりすさんの成功をお祈りしています。
          来年は飛躍の年になるといいですね!
          くらりすさんも良いお年を迎えてくださいね!

  5. 刑務所 返信

    こんにちは。
    現在女性刑務官として女子刑務所で勤務して2年目になる者です。

    将来的に准看護師の受験を考えているのですが、受験資格はありますか?

    また、どのようなことを勉強しておけばいいのでしょうか。

    中等科に行くのと、准看護師を取るのとではどちらがおすすめですか?

    • sayadan 投稿者返信

      刑務所様
      先日いただいたご質問で回答できていなかった受験資格についてですが、私の記憶では、申込時の年齢が30歳とか35歳未満であったり、勤続年数が2、3年以上?必要であったりしてたと思います。
      また、試験については特になかったと思いますが、勤務成績などは密接に関わってくると思われます。
      なお、詳細については、勤務先の刑事施設にお聞きするとよろしいかと思います。
      矯正を支えてくださっていつもありがとうございます!目標を達成できるといいですね!!応援しております!!

  6. 刑務所 返信

    こんにちは。
    現在女性刑務官として女子刑務所で勤務して2年目になる者です。

    将来的に准看護師の受験を考えているのですが、受験資格はありますか?

    また、どのようなことを勉強しておけばいいのでしょうか。

    中等科に行くのと、准看護師を取るのとではどちらがおすすめですか?

    • sayadan 投稿者返信

      刑務所様

      お問い合わせありがとうございます!!
      准看護師の資格取得に関して、私個人的な意見としては、准看護師であれば、40歳くらいで主任クラスの階級に上がれますし、もちろん、専門的な道に進むことができるので、准看護師に応募する方が良いのではないでしょうか。
      私自身、准看護師は経験したことはないのですが、いろんな部署を経験するより、一つの道を極めていきたい人向きだと思います。
      詳しい勉強方法などについては、現在、調べておりますので、また返信いたします。
      また、私さやだんは、刑務官向けのKindle本を執筆中ですので、発売後、そちらもお読みいただけますと幸いでございます。
      2024.5の発売を目指しておりますので、よろしくお願いします。
      また、「僕、刑務官辞めたんです!」という私の1作目のKindle本も絶賛発売中なので、ぜひ、読んでいただけますと幸いです。

      https://www.amazon.co.jp/僕、刑務官辞めたんです!-スキマ時間を使ってスキルアップしたら、理想の働き方に出会えました%E3%80%82-さやだん-ebook/dp/B0CTTRMSH1

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