こんにちは。
さやだんです。
今日は、高等科研修についてお話しします。
僕の周りでは、高等科を修了して、①イキイキしている人、②疲弊しまくって毎日愚痴を言ってた人、③うつ病になって出勤できなくなった人がいたので、高等科研修の賛否は分かれるかもしれません。
もちろん、メリットもあればデメリットもあると思うので、僕が見てきた状況を踏まえて説明していきますね。
目次
刑務官の高等科研修とは!?
高等科研修とは、これまでの初等科や中等科とは違い、高等科研修入所試験に合格した刑務官が東京の昭島市にある矯正研修所の一箇所に集められて行われます。
なお、高等科研修の入所試験は毎年5月頃に実施されて、同年の8月に研修所に入所して、そこからおよそ6ヶ月間、幹部に必要な知識をつけるための研修が行われます。
研修期間中は課題も多いので、夕方5時を過ぎてもなかなか忙しいようで、羽を伸ばしてゆっくりできるような感じでもないようです。
僕も以前、外務省へ出向前の法務省の語学研修の際、高等科研修員の方達と同じ研修寮で生活させていただきましたが、高等科研修員の皆様は、夜も遊びに行かずに食堂でミーティングをしたり、課題に励んでおられたので、高等科研修も大変なイメージしかありませんでした。
ちなみに、矯正研修所は、以前は府中刑務所から徒歩5分のところにありましたが、最近移転したため、とても新しくて快適だそうです。
とても良い施設のようなので、日本の矯正のためにぜひ頑張ってもらいたいですね!!
なお、研修自体は、被収容者の処遇の複雑化が増す今日この頃なので、レベルの高い内容になっていると思われます。
中には、正解のない問題を取り扱ったり、一瞬の判断ミスが大きな命取りになる場面にも精通しないといけないので、研修でどこまで細かく勉強できるかが、研修終了後の生活の鍵を握ることでしょう。
あと、これは余談になるかもしれませんが、コロナの影響によって、リモートで研修に参加する方もいたので、今後はリモートもアリかなって思います。
高等科に行くべき?行かないべき?さやだんはこう考える
結論から言うと、人の上に立ちたいとか、他人に勝ちたいとか、そういう理由で高等科に行こうとしているのであれば、絶対にやめておいたほうがいいかと思います。
残念ながら、そういう動機では国民の期待には応えられないし、国民も望んでいないと思うのです。
やはり、将来、幹部になっていく方達は、自分のライバルを意識するよりは、再犯率を少しでも下げる努力をしなくてはならないと思うので、そっちの方が大事だと僕は考えます。
また、高等科を修了して幹部になると、それまで以上に時間が足りなくなるケースが増えてくるでしょう。
業務も忙しくなるし、転勤も増えるし、ましてや単身赴任になってしまうと、子供と過ごせるはずだった時間も失うことになりますし、他の職種に挑戦できるであろう十分な学習時間も失うことにもなります。
ただ、上司から勧められるまま、勢いだけで受験しようとしているのであれば、まずは、自分にとって本当に必要なものであるのかどうかをよく考えたほうがいいかな〜って思います。
ちなみに、次のことを考えるといいかと思います。
「自分は幹部になって矯正にどのように貢献していくのか」
「家族との時間以上に大切なものがそこにあるのか」
「自分の住みたい家には定年後まで住めなくてもいいという覚悟はあるのか」
「自分のことばかり考えずに、本当に矯正のことを考えていけるのか」
「時には、家族を犠牲にしてでも、矯正に尽くしていけるのか」
これらはごく一部ですが、最低でもこれらがクリアできて、強い信念がある方は高等科へ行って頑張って欲しいなって思います。
高等科へ行くメリットはこれだ!!
高等科を修了すると確かに茨の道が待っています。
決して生ぬるいものではありません。
しかしながら、その道を進む者だからこそ得られるメリットもあるのです。
給料が上がる
決して爆上がりではないですが、早い段階で高等科を修了すると、早い段階で階級も上がり、俸給表における号俸もそれに伴って上がっていくので、中等科を修了した人と比べて、生涯年収は高くなります。
ちなみに、僕と同い年だった幹部職員の方(首席矯正処遇官)についてですが、当時、僕が、主任矯正処遇官(中等科修了)で年収は約700万円いただいていましたけど、その方は約800万円もらっていると言っていました。
仕事的にはかなり辛そうだったし、上司からも部下からも責められてストレスもかなり感じていた様子だったので、それくらいもらえてもいいのではないかとは思っていました。
将来、上級幹部になることができる
中等科を修了しただけでは、基本的にはせいぜい統括矯正処遇官で刑務官キャリアは終わります。
課長級のポスト、部長級、所長級のポストには今の制度では就くことができません。
また、霞ヶ関にある法務省での勤務もあり得ますし、地方の矯正管区で管区長となる可能性もあります。
そうなると、給料も上がるし、優越感に浸ることもできます(笑)
転勤のスパンが短い
これはメリットかデメリットかわかりませんが、メリットにしました。
転勤のスパンが短いということは、仮に嫌な上司と一緒の職場になった場合、最長で3年でお別れすることができるわけです。
中小企業だとそうはいきませんが、刑事施設の幹部ですと、平均2年(最長3年)で転勤となるので気分転換にもなります。
自分の不得意分野での管理職でも2年間我慢すればいいのです。
高等科へ行くとこんなデメリットがある!
ここからは反対に、デメリットの紹介です。
僕の場合、メリットよりもデメリットの方が上回っていたので、高等科には行きませんでした。
もし、今高等科に行こうかどうか悩んでいるのであれば、デメリットをよ〜く考えてから決めましょう。
家族との時間がなかなか取れない
メリットでもあり、デメリットであるのが引越しのスパンの短さ。
でも、その短さゆえのデメリットは、家族にも影響します。
つまり、子持ちの刑務官の場合、自分が単身赴任となるか、子供たちに転校をさせ続けるのかという究極の選択を迫られるのです。。。
子供たちが転校のたびに、せっかくできた友達とお別れする姿を目の当たりにするのは辛すぎますよね・・・。
ましてや、単身赴任ともなると、家族との時間が共有できずに、一体なんのために働いているのかと疑問を持つようにもなると思います。
単身赴任になると自分の家になかなか住めない
せっかく建てたマイホーム。
しかしながら、単身赴任になると、自分の住居は刑事施設の官舎となります。
一般職員とは違い、高等科終了の幹部職員は基本的には官舎に住まなければなりません。
ローンを組んで家を建てたり、マンションを購入しても、基本的には週末や長期休暇の時にしか、その家で過ごすことができないと思っていいでしょう。
だったら、まだ中等科で留まっておいて、地元で家を購入して、勤務成績を下げないように仕事をすれば、ずっと住み続けられるかもしれませんね。
平均2年に一回引っ越ししなければならない
単身赴任であっても、引っ越しを数年に一回しなければならない生活は何かと煩わしいものです。
高等科を修了して幹部職員になると、平均2年に一回、転勤、引っ越しがあると思っていいです。
家族帯同の場合、子供の学校手続きや塾の手続きもあるし、受験が絡むと受験校にも影響してくるし、引っ越し一つで生活の様々な部分で手続きが発生してきます。
そうなると、自分だけではなく、奥様にも負担がかかるだろうし、奥様の仕事にも影響が及ぶでしょう。
高等科を選ぶことでどれだけの影響が家族に及ぶのかをよく考えてから決断をした方がベターです。
激務に耐えられなくなり、退職を検討することも。。。
実際、幹部になったものの、一般職員とは異なる特殊な職務のため壁にぶつかる方も少なくありません。
僕と一緒の夜勤班だった仲のいい元同僚は、とんとん拍子に高等科まで行ったのでした。
そして、彼は優秀だったため、法務省の予算係という超激務ポジションに抜擢されて、毎日毎日来る日も来る日も残業で、とうとう体を壊してしまって、退職してしまったのでした。
もし、中等科修了でそのまま刑務官のキャリアを続けていたら、まだ刑務官を続けることができていたかもしれません。
なので、もし、出世には全く興味がなくて、ずーっと刑務官を続けたい方は、高等科へ行くことはあまりお勧めしません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
高等科研修は確かにメリットもいっぱいありますし、チャレンジをしたい方にとっては、刑務官人生の一つの良い区切りにはなると思います。
ただ、覚悟をしなくてはならないこともたくさんあるし、日本の治安を守るための刑事施設運営の中枢を担う立場になられるので、生半可な気持ちで行くことはお勧めしません。
覚悟を決めて行かれるのであれば、エールを送ります。
頑張ってください!
でも、無理もしないでくださいね!
最後まで読んでくださってありがとうございました!